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ワインは“育てる”飲み物

ワインは“育てる”飲み物

ワインは生きている

グラスに注がれ、芳醇な香りを空間いっぱいに満たす一杯のワイン。畑から収穫され、木の樽で熟成したぶどうは、ボトルに詰められたあともなお、数年の歳月をかけてゆっくりと熟成を重ね、あなたの口に運ばれるこの時を待っていたのです。数千年ものあいだ受け継がれてきた、人と自然の叡智が生みだす至高の一杯。ワインとは、飲み物であると同時に”生き物”でもあるのです。

ワインを育てる「熟成」

私たちのまわりには、醤油や味噌、チーズやビールなど、さまざまな発酵食品が存在します。発酵とは、酵母や乳酸菌などの働きにより、もとの原料よりも旨みや栄養価が増し、保存性が高まる現象ですが、ここで欠かせないのが「熟成」。時間をかけて寝かせることで、風味や味わいなどのバランスが格段に向上するのです。じつは食肉も発酵食品と同様、牛肉の場合は通常2週間ほど熟成させ旨みが増した状態で出荷されています。

ぶどうを発酵させて造るワインも当然、熟成が必要な飲み物ですが、十分に熟成させて出荷されることはまずありません。飲み頃を迎えるまでに長い時間がかかる上、毎年膨大な量のワインが生産されるワイナリーにおいて、その貯蔵スペースを確保することは非常に困難だからです。したがって、出荷後のワインはインポーターやワインショップ、そして最終的には私たちが、飲み頃になるまで熟成させる必要があるのです。

ワインの飲み頃

ワインにはそれぞれ熟成のピークがあり、それがいわゆる“飲み頃”です。

熟成期間は、ワインの産地・畑・生産者などにより異なりますが、同じワインでも、ぶどうの収穫年(ヴィンテージ)で熟成期間は大きく変わってきます。それは、ぶどうのできが毎年異なるからであり、天候に恵まれた年のぶどうは、芳醇な香りやしっかりとしたコクを併せ持つ、スケールの大きなワインに育つといわれています。

「良いワインは良いぶどうから」といいますが、ぶどうが農作物であることを考えれば、収穫年を記すことはごく自然なことであり、私たちがそこからさまざまな情報を得ることも多いのです。

ワインが眠る寝室

しっとり ひんやりとした暗くて静かなカーヴ

ワイナリーでは通常、地下にある「カーヴ」と呼ばれる貯蔵用の部屋でワインを熟成させています。特にワインが日常的な飲み物であるヨーロッパでは、代々各家の地下にカーヴが備えられており、ワインもここで保存されてきました。年間を通して一定の温度と湿度を保ち、日光の当たらない薄暗く静かな地下のカーヴ。そこは、ワインを熟成させるためのまさに最良の”寝室“なのです。

カーヴの環境
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