長期間貯蔵し過ぎない

飲みごろ温度での貯蔵には注意が必要です。ワインは瓶の中でも、熟成が少しずつ進んでいます。味わいは瓶に詰めたてが一番強く感じるものですが、時の経過とともに味成分が分解されて、強すぎる味わいをまろやかにしたり、渋み成分タンニンの分解によって甘味を出したりしていきます。こうした熟成は、ワインをより美味しくさせる要素のひとつですが、あまり長く置きすぎると成分分解が進み過ぎてしまい、味を損ねてしまうことがあります。特に、赤ワインの場合、飲みごろ温度は高めですから、長く置いておくと熟成の進行が早まってしまいます。もちろん意図的に早めることもできますが、必要以上に長い期間おくと味がぼんやりしてしまい、シャープさを失うことがあるのです。飲みごろ温度での貯蔵は1ヶ月以内に留めることをおすすめします。

過度の低温に注意

間違って赤ワインを低温で貯蔵すると、澱が多くなるとともに、ワインに溶け込んでいた成分の結晶である酒石が出やすくなります。酒石はブドウの酸味成分「酒石酸」とミネラルの「カリウム」が結合して結晶化したもので、グラスの中でキラキラと反射することから、ワインのダイヤモンドとも呼ばれています。酒石は、決して健康に影響を与えるものではありませんが、ワインの酸味や味わいを損なう原因にもなってしまいます。白ワインやスパークリング・ワインの場合も、低温で長期間貯蔵すると酒石が多く出るようになります。酒石は一度できると溶けにくく、うま味成分である酸の一部と結合してしまうため、味がものたりなくなることもあるのです。また、温度が低すぎるとアロマが隠れていまい、酸味とタンニンが強くなってしまいます。舌触りも粗くなるので注意しましょう。長く貯蔵すればするほど、環境による影響を受けやすくなります。長期貯蔵をするなら、1温度帯のワインセラーで、ワインの貯蔵に適しているとされる温度(12℃~15℃)設定をおすすめします。

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